いやしのプチ童話集-動物編 無料で読めるかわいい動物達の短い童話集です。温かくて楽しいお話になっております。ご家族でどうぞ!

第五話「ミュウちゃんの秋」

まだまだ、小さなうさぎのミュウちゃんが秋のお外へ、とび出しちゃいました。どうなるのかな?

お嬢さんには、よわいミュウちゃん

うさぎのミュウちゃんは、生まれたときからいつもおへやの中、お外(そと)をしりません。ふわふわのソファーやクッションの上を、ピョンピョンかけまわるまい日でした。 ミュウちゃんのご主人様は、美しくて優しいおじょうさん。それはそれは、ミュウちゃんをとてもかわいがっていました。

でも、ある時、おじょうさんが、うっかり!げんかんのドアをほんの少しあけたままに、してしまいます。外にとび出したミュウちゃんは、まっしぐらに、秋の林の中へピョンピョン!と、むかいました。林の、赤くなった木のはっぱを見あげて「おじょうさんのドレスが、棒(ぼう)にひっかけてあるのかな?」と思うのでした。

カサコソッ!カサコソッ!の落ち葉(ば)を、走ってふんでは「うちのご主人が、音いりのじゅうたんを買ったんだ!」と思っています。ですから、おなかをすかして餌(えさ)をさがしていたキツネと出あっても「うん、なかなか映(うつ)りのいいテレビ画面(がめん)だな。」と、鼻(はな)で、うなづきました。

ところが、とつぜん、ミュウちゃんはキツネにおいかけられます。でも「ご主人(しゅじん)が、ゲームつきのテレビに変えたんだ!わーい!」と、大よろこびで逃げまわり、ピョンピョン!ピョンピョン!よろこんで、とびまわります。

お池までくると「おっとっと!バスルームに入ってしまった。」と、大あわてです。ピタッ!と、ブレーキです。おふろだと思ったからです。なぜなら、ミュウちゃんは、おふろが大きらいで、いつも大さわぎしながら入るのです。おじょうさんを困らせていたのでした。

それで、後ずさりして、ふり返ってみました。すると、キツネがよだれをたらして、ミュウちゃんに近づいてきます。ミュウちゃんはそろそろつかれてきました。いつもなら、おひるねの時間だからです。それに、キツネのゲームには、あきてきたのでした。

「もう、ゲームをやめたいなあ!」と、思います。でも、ゲームのオフ・スイッチが、見あたりません。「そうだ、キツネの画面(がめん)の後ろに、あるにちがいないんだ。コンセントをぬけば、いいんだもん!」と思ったミュウちゃんは、向かってくるキツネの頭の上を、とくいのピョ~ン!で、着地(ちゃくち)が、成功です。

でも、そこにはコンセントではなく、今にも泣き出しそうなおじょうさんが立っていました。ミュウちゃんは「あれれ!へんだな?」と、思いました。それでも、おじょうさんの腕(うで)の中に、またまたピョン!と、飛びのります。おじょうさんは、いなくなったミュウちゃんのことをとてもしんぱいして、さがしていたのでした。ミュウちゃんをみつけたおじょうさんは、うれしくて泣いています。

でも、ミュウちゃんには、おじょうさんの涙(なみだ)の意味(いみ)が、わかりません。やさしく抱っこされたまま、おへやにもどったミュウちゃんでした。ミュウちゃんは、「ふが~!つかれちゃった。ねむいなあ。」と、あくびをします。「カサカサじゅうたんの上のテレビゲームを、また、あしたもやるんだ!」と、夢をみながら、ふわふわのソファーにうもれて、ぐっすり!と、おひるねです。おやすみなさいミュウちゃん!

「ミュウちゃんの秋」おわり

ミュウちゃんのように、生きていくのも幸せかもしれませんね。なんでも、たのしく考えちゃうんですものね。でも、たいせつにしている飼いぬしのお嬢さんが、しんぱいし過ぎてかわいそうでしたね。ミュウも大きくなれば、きっとそのことに気がついて、かってに飛び出したりしなくなるのでしょう。

written by 徳川悠未